固定資産を保有しているが、もう使うことがない、処分するには費用がかかる、どうしようかという場合、固定資産としての命数価値がなくなっていることを明確にできれば、現状の姿をそのままにして、除却損として損金処理することが認められています。
有姿除却の事実を立証するためには、法人税法基本通達に示されているように、その使用を廃止し、今後通常の方法により事業の用に供する可能性がないと認められる固定資産であること、
または、特定の製品の生産のための金型等の場合には、その製品の生産を中止したことにより将来使用される可能性がほとんどないことがその状況等からみて明らかなものでであることなどを立証しなければいけません。
火力発電設備を構成する電気事業固定資産について争われた事例では、
税務署長は、①火力発電設備を構成する資産の有効活用を図るため、社内での活用、流用が検討されていた、
②実際、車内では流用が行われている、
③商社等への売却の準備、交渉を行っていたこと
をあげて、解体済みのものを除き、「使用価値を失ったことが客観的明らかでなく、今後、事業の供にする可能性がないとは認められない」と再稼働の可能性を指摘しました。
原告は、この火力発電と同種の発電設備が、廃止し、再稼働した例は1件もなく、廃止された設備が再稼働されることは社会通念上あり得ないと反論しました。
裁判所は、「本件火力発電所がその廃止により発電という機能を二度と果たすことがなくなった以上、社会通念上、発電という本件火力発電設備がその廃止により発電という機能をニ度と果たす事が無く(将来再稼働の可能性はないと認められる)なった以上、社会通念上、発電という本件火力発電設備の「既存の施設場所」における「固有の用途」は、完全に失われた」と判示し、この訴訟は1審で確定しました。
判断の決め手は、「再使用可能性」であったと思われます。
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