4年前にスタートした新会社法で、鳴り物入りで登場した会計参与制度が、中小企業の間であまり利用されていない実態が明らかになりました。日本税理士会連合会が法務省法制審議会の会社法制部会で発表したものです。
会計参与は、公認会計士、税理士などが会計の専門家として取締役と同じ立場で責任を負い、中小企業の内部機関として機能することにより、外部からは見えない問題点を発見するとともに、計算関係書類作成に付随して企業経営の問題点を改善するための有用で信頼性の高い情報を提供して、企業経営を正しい方向に導くことが職務とされています。
ところが、日本税理士会連合会の杉下清次会計参与普及推進特別委員長が、今年5月26日に開かれた法制審議会の会社法制部会(部会長=岩原紳作東京大学教授)で説明した「会計参与の現状と役割」によると、会計参与制度の普及が芳しくない状況があります。同説明では、会計参与に就任する際に必要な税理士資格証明書の発行件数が、平成22年4月末日現在で1,810件しかなく、同年4月末時点までの直近2年間について見てみると、同証明書の発行件数は759 件、発行人数は303 人といった状況が語られました。普及の伸び悩みの一因として「会計参与に係る報酬を支払う余裕のある中小企業は依然少ないと思われる」といった現状が報告されています。そして、日税連としては「普及推進のために、関係官庁や金融機関などと連携し、インセンティブ措置の創設などを検討する必要がある」ことや会計参与に就任した税理士を支援するための「相談窓口の設置や講師養成研修の継続実施」などを説明しました。
会計参与は、日本独特の制度です。会計参与についての疑問点等ございましたら、お気軽に当事務所までお問い合わせいただければ幸いです。
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