株式会社に現金ではなく土地などの不動産を提供して、その代わりにその会社の株式をもらい受ける、いわゆる現物出資をしたときの経費について新たな取扱いを関東信越国税局が示しました。
①株式会社が個人から土地の現物出資を受ける場合、その土地の所有権移転登記や裁判所に対して検査役の選任の申立てをして、現物出資財産の価額を調査してもらわなければなりません。所有権移転登記は問題ないのですが、裁判所に検査役の選任の申立てをするとなると少々面倒な手続きが必要となります。そこで、会社法では、現物出資した土地の価額について不動産鑑定士に鑑定評価を依頼し、その価額が相当であることについて公認会計士・税理士等に証明してもらえば、現物出資で得た財産の価額について検査役の調査は不要とされています。
②税務上、注意しなければならないのは、現物出資をした個人が土地と引換えに株式を受け取ることから、もらい受けた株式の総額が提供した土地の売却代金とみなされ、その分を譲渡所得として申告しなければならないということです。譲渡所得の計算上、関東信越国税局に寄せられた納税者からの質問は「現物出資をした個人が、所有権の移転登記に関する登録免許税や不動産鑑定料および証明の報酬を支払った場合、譲渡所得の計算上、それらを費用として取扱っても良いか」という内容でした。
③関東信越国税局は「登録免許税については費用と認めるが、証明の報酬及び不動産鑑定料は、現物出資を受けた株式会社がその税理士と不動産鑑定士に支払うべきものである。したがって、たとえ契約に基づいて出資者が負担したとしても、現物出資を実現するために必要であった費用に該当するとは認められない」という見解を示しています。
皆様 いかがですか。不明点や具体的にはどのように行なうのか等の疑問点ございましたら、お気軽に当事務所までお問い合わせください。不動産鑑定料及び証明の報酬は、現物出資受け入れる法人負担とすべきと、いっていることから、出資受け入れ法人で負担してもらってもよいでしょう。