法律上の貸倒れの場合には、結果的に貸倒れの部分計上(消滅した部分の金額)をすることになるが、回収不能等と認められる事実上の貸倒については部分処理が認められていません。
すなわち、債権者の資産状況、支払能力等からみて、その全額が回収できないことが明らかになった場合には、その事業年度において貸倒れとして全額を損金経理した場合に限り認められます。
それゆえ、下記のことに注意する必要があります。
①100%回収不能の場合に限られます。
②回収不能が明らかになった事業年度で、損金経理(費用として経理処理)を行うこと
③回収不能かどうかの事実認定は、債権者の時価ベースによる資産の状況、支払能力、保証の有無、事業の継続性等を総合的に判断すること
④担保物件処分後でなければ認められないこと
回収不能が明らかになった事業年度で全額でなく部分的に貸倒処理しても、損金算入は認められません。(なお、個別評価金銭債権に係る貸し倒引当金の認定は一定の要件のもとに可能であります。)
この場合には、その後法律上の貸倒れの事実が発生するまでは貸倒処理ができません。