取締役は、その職務を行うについて悪意または重大な過失があれば、これによって第三者に生じた損害を賠償する責任を負うというのが、取締役の責任です。
取締役を辞任した者は、取締役ではありませんので、取締役としての個人責任を追及されることはありません。
判例も、「株式会社の取締役を辞任した者は、辞任したにも係わらず、なお対外的に積極的に取締役として又は対内的な行為をした場合を除いては、辞任登記が未了であることを信じて当該株式会社と取引をした第三者に対しても、損害賠償責任を負わないものというべきである。」と判示して、否定しています。
しかし、前記判例は、続いて「取締役を辞任した者が、登記申請者である当該株式会社の代表者に対し、辞任登記をしないで不実の登記を残存させることにつき明示的に承諾を与えていたなどの特段の事情が存在する場合には、取締役を辞任した者は、善意の第三者に対して当該株式会社の取締役でないことをもって対抗することができなく、取締役としての所定の責任を免れることはできないものと解するのが相当である。」と判示しています。
辞任した取締役が、登記申請者である当該株式会社の代表者に対し、辞任登記を申請しないで不実の登記を残存させることにつき明示的に承諾を与えていたなどの特段の事情が存在する場合には、辞任した取締役は、辞任を第三者に対抗することができず、個人責任を負うということです。
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