ある同族の会社が、役員の通勤及び出張の際の交通手段として取得したイタリア製のスポーツカーに関わるものは、役員の個人的趣味による取得であり、事業の用に供しているとは認められないとして、同族会社の行為計算否認の規定により、取得費を役員賞与、減価償却費を否認し、税務当局に更正処分を受け、これを不服として争われました。
国税不服審判所は、次のように判断しました。
車両は、2,700万と高額ノイタリア製2人乗りの排気量4.94ℓのアウポーツカータイプの乗用車であります。
この他にも、会長及び役員用の乗用車としてロールスロイツ及びベンツを所有しています。これらの車は、使用する役員自身が運転し、運転記録は作成していません。
当該社の出張旅費規定によると社用車による日帰り出張の場合は旅費は支給しないことになっています。
フェラーリは、社長の通勤及び支店を巡回指導する際の交通手段として利用されており、このフェラーリを選定した理由は排気量が大きく堅固であること、遠方の支店に出張する際は安全性もあり、運転が楽であること、中古車として売却する際の価値もあることのほか、社長の個人的趣味もあります。
運転記録を検査したところ、3年間に7,958キロ走行していることが認められ、社長に対して交通費及び通勤手当は支給していませんでした。
税務当局は、外国製のスポーツカータイプの乗用車で一般社会常識から見ても個人的趣味の範囲内のものであり、同族会社ゆえにできる行為であると主張しますが、この車両は主として使用する社長の個人的趣味によって選定された外国製のスポーツカータイプの乗用車であるとしても、現場に当該社の事業の供に使用されていることが確認できる以上は、税務当局の主張を採用することはできません。
また、社長は、この車両とは別に、外国製の車両2台を個人でも所有しております。
それゆえ、取得価額の役員賞与及び減価償却費の損金不算入という更正処分は適切ではない。
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