役員借入金がある中小企業はよくあります。(株式上場目指す場合は認めれませんが)明確な意志があって貸したのではない場合が多々あるかと思います。なんとなく、経費の立替払いを繰り返しているうちに、気づいたらン千万円もお金を貸してしまったのと同じ状況になってしまったという場合が多いかと思われます。
このような場合、税金面で損をしているケースが多々あります。よくあるパターンは次のような感じです。法人で利益を出さないと節税になるようです。①役員報酬を高めに設定 ②ふたを開けてみたら、大きく赤字 ③会社にお金がないからポケットマネーで補填せざるを得ない ④役員借入金(代表者借入金)が膨らむ (以下、1~5を繰り返し)このように、法人税の節税をねらって赤字を作りに行くと、代表者借入金が膨らんでしまう傾向にあるのです。
これは、その節税効果はない、それどころか、むしろ、税金を納めすぎる効果しかありません。確かに、法人税はかかっていませんので、節税になっているように見えます。でも、役員報酬に対して多額の所得税がかかってしまっています。高い給料を受け取って、国に所得税をたくさん払って、所得税を払う。そして、その後に、会社にお金を貸しています。こういうことを繰り返した結果、 ①税金をたくさん納める ②代表者借入金は膨らむ ③役員報酬をたくさんもらっているわりに贅沢はできないという大変なことになっていきます。節税を過剰に狙いすぎたために、かえって、税金が膨らんでしまっているのです。
ということで、会社の赤字の補填のために、代表者借入金が膨らんでしまっている会社は、真っ先に「役員報酬」を減らしてください。そうすれば、役員報酬に対する所得税は減ります。一方で、累積赤字が多額にあれば、法人税は相変わらず0円です。つまり、こういう状況の場合には、役員報酬を減らしたほうが、所得税・法人税合算で税金を減らすことができるのです。「役員報酬下げたら生活できない」という場合は、会社に貸したお金を返してもらってください。役員報酬を下げれば、会社にお金が余ります。そのお金を返してもらえばいいのです。
皆様いかがですか。税務的には節税のつもりが、節税どころか、税金の払いすぎになっていることが多々ありますのでご注意ください。節税になっているかどうかの疑問点等ございましたら、遠慮なくお問い合わせいただければ幸いです。
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