上場企業の株価が下落し、簿価が時価を上回っている状況、含み損が発生している有価証券を保有しているケースもあると思います。この含み損をどのように会計処理(決算処理)するのか検討します。
法人の所有する上場有価証券等(企業支配株式を除きます。)について、その価額が著しく低下(※)し、帳簿価額を下回ることとなった場合で、法人が評価換えをして損金経理によりその帳簿価額を減額したときは、帳簿価額とその価額とその差額までの金額を限度として評価損の損金算入が認められています。※ この場合の「著しく低下したこと」とは、以下の①と②の要件を満たすこととされています。① 上場有価証券等の事業年度末の価額がその時の帳簿価額のおおむね50%相当額を下回ること ② 近い将来その価額の回復が見込まれないこと ただし、株価の将来の動向を予測することは、非常に困難となっているのが現状です。そのため、過去2 年間にわたり、50%程度以上下落した状況にあることをもって評価損を計上するということが行われているケースも多いのではないかと思います。
平成21 年4 月、国税庁から「上場有価証券の評価損に関するQ&A」が発表され、次のような合理的な判断基準による場合の評価損の計上を認めることが明らかにされました。① 過去の市場価格の推移や市場環境の動向、発行法人の業況等を総合的に勘案した合理的なもの。② 第三者である証券アナリストなどによる個別銘柄別・業種別分析や業界動向に係る見通し、株式発行法人に関する企業情報などに基づく合理的なもの。③ 監査法人による監査を受ける法人において、株価の回復可能性の判断の基準として一定の形式基準を策定し、税効果会計等の観点から自社の監査を担当する監査法人から、その合理性についてチェックを受けて、これを継続的に使用するもの。
皆様いかがですか、有価証券の評価損計上を誤ると税務調査で指摘をうけ、追徴課税になることもありますので、慎重に実施してください。疑問点等ございました。お気軽にお問い合わせいただきたくお願いします。
吉永公認会計士・税理士事務所の税務顧問サービスにお任せください。