昨今、訪日中国人の数は右肩上がりに伸び続けています。2009年7月の個人観光ビザ発給の開始に加え、現在検討されている発給条件緩和によって今後もますます増加すると思われます。中国人の観光客の日本滞在中の1人当たりの平均消費額は12.8万円です。経済成長著しい、中国マネーをなんとか取り込みたいものであります。中国人観光客の日本国内でのショッピング金額を押し上げる原動力として関心が高まっているのが銀聯カードです。銀聯カードとは、中国の中央銀行である中国人民銀行が中心となり設立した銀行間決済ネットワーク運営会社「中国銀聯」が発行する決済機能付きのキャッシュカード(デビットカード)のこと。現在、13億枚以上が発行されています。中国国内の消費者にかなり浸透した決済手段であります。
中国人観光客の多くが銀聯カードで買い物をするかというと、銀聯カードを利用することで5000米ドルの外貨持ち出し制限を回避できるというのが大きな理由です。中国では一般的に、クレジットカードの限度額が日本円で3~8万円程度と低い設定のため、銀行口座に残高がある限り買い物ができる銀聯カードでの支払いが好まれるのです。また、これは、キャッシュカードでもあるので、日本でも提携銀行のATMで中国の人民口座から日本円で引き出しが可能です。1日の引き出し限度額は日本円で13万円となっています。ただしATMで日本円を引き出す場合は、0.5~1%プラス110円の手数料が発生します。一方でデビットカードとしての利用については手数料は掛かりません。
日本国内での銀聯カードの加盟店数は、中国人観光客を呼び込もうと増加傾向にあります。国内での銀聯カード決済サービスは2005年に三井住友カードがパートナーとなり、加盟店募集を行っています。当初、200店程度しかなかった加盟店はここ2、3年で急速に拡大し、2009年夏には1万3500店にまで増えました。日本での利用状況は、2006年に約10億円、2007年には約40億円でしたが、2008年には約130億円と急拡大しました。1件当たりの平均利用額は約3万円ということです。なお銀聯カード利用での為替リスクは、円ベースでの決済のため、発生しません。
中小企業でも、中国人観光客の来店を促すために、銀聯カードの加盟店になろうというところが増えています。日本での銀聯カードの窓口は、三井住友カードとなっているため、もし同社との加盟店契約が済んでいれば、銀聯カード決済の追加申込みをするだけでOKなので、すぐに加盟店になれます。未契約の場合には、クレジットと銀聯カードの両方の加盟店契約を結ぶ必要があります。同社規定の審査を終え、契約を締結すれば決済端末を設置し、利用可能となります。なお、精算時にはクレジットカードと同様に、加盟店手数料が差し引かれます。クレジットカードと同様、貸し倒れになって、販売代金が未回収となるリスクは低いですが、手違い等により、入金されないリスク、また、決裁のタイミングの差異により、期日通りに入金にならない可能性もあります。それゆえ、利用実績単位で入金されているか管理する必要があることはいくまでもありません。
みなさまいかがですか。「銀聯カード」は、小売業の売上拡大に貢献する可能性があります。ただ、その販売代金の入金状況も管理しければなりません。どのように管理すればいいのか、疑問点等ございましたら、お気軽に当事務所までお問い合わせください。
上記のような業務管理の仕組み構築支援をも行います。