共同持株会社設立のため株式移転を行った際、従前に発行していた新株予約権に代えて、新たに同条件の新株予約権を発行した場合に、租税特別措置法第29条の2の「特定の取締役等が受ける新株予約権等の行使による株式の取得に係る経済的利益の非課税等」の適用を受けられるか否かについての文書照会で、東京国税局は、その付与株式数及び権利行使価額について適正な調整が行われていれば、適用できる旨回答した。
会社法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律第64条の規定による改正前の商法に基づく措置法第29条の2の税制適格要件を満たすストックオプション(新株予約権)を発行していましたが、株式移転に際して、従前の新株予約権者に、それぞれが所有する新株予約権と同一内容の親会社の新株予約権を新たに交付することととし、従前の新株予約権を消滅させたときに、引き続き税制適格要件が満たされるか否かを照会したものであります。
会社法上、株式移転をする場合、株式移転計画に株式移転をする子会社の新株予約権者に対して、株式移転により設立する親会社の新株予約券を交付する旨を定めている場合、親会社の成立の日に子会社の新株予約権は消滅し、新株予約権の新株予約権者は、株式移転計画の定めに従い、親会社の新株予約権者になります。この場合、一旦消滅した新株予約権が、引き続き措置法29条の2の税制適格要件を適用できるのかという疑義が生じます。
しかし回答では、「株式移転計画の定めに従い、子会社とその使用人等との間で締結された付与契約に基づく新株予約権の内容に基づいて交付されるものであることから、その権利行使は、実質的に子会社との付与契約に従って行使するものといえる」とし、新株予約権の付与株式数及び権利行使価額について適正な調整が行われている限り、「措置法第29条の2が適用され、引き続き税制適格要件を満たすものと取り扱われる」となっています。
まずは、一安心であります。もしこれが、税制適格要件を満たさないとするなら、組織再編を行って、新株予約権を用いて役職員の士気を高めて、株式上場を目指すスキームが行えないことになり、企業再生、新たなる企業成長目指すことが困難になっています。